稽古の内容を考える
- 2018.10.30
- 劇団を作る準備をしよう!
演劇の稽古は、大きく分けて二種類あります。
一つは、公演に向けての稽古です。これは上演台本に沿って、演出家を中心に作品創りを行っていく舞台稽古と呼ばれるものです。
もう一つは、まだ公演や作品(脚本)が決まってない段階での役者を鍛えるための基礎トレーニングを行う稽古があります。
ここでは後者の基礎のトレーニングについて考えていきます。公演に向けての稽古は、別記事に書いていきます。
なぜ基礎トレーニングが必要なのか
劇団を立ち上げ、メンバーを集めても、いきなり全員が舞台に立てる力量があるわけではありません。全員が演劇経験者で、普段から色々な舞台に出演しているという場合は別ですが、中には初めて舞台に立つというメンバーがいるかもしれませんし、経験者でもあまり上手ではない場合もあり、全員のレベルが同じとは限りません。そのため、公演に向けた稽古をする前に、ある程度メンバーのレベルを上げ、なるべくレベルを揃え、また演出家は役者の力量を把握する必要があります。
基礎のトレーニングとは、舞台に立つ役者の肉体的なトレーニング、舞台用の声を出すための発声練習、演技力の向上を目的としたトレーニングがあります。
今回は、各基礎トレーニングの簡単な紹介と目的を説明していきます。
尚、演劇のトレーニングはここで紹介しているもの以外にも様々な方法があります。多くの書籍が出ていますので、それらも参考にしていただいて、自身の劇団にあったプログラムを作っていってください。
肉体的なトレーニング
演劇は文系だから、あまり体を動かさずに頭やセンスだけで何とかなると思ったら大きな間違いです。一度でも劇場で生の演劇をご覧になられた方はわかると思いますが、役者は舞台の上で汗をかきながら演技をしています。これは決して照明が暑いからでも緊張しているからでもありません(中にはそういう場合もありますが・・・)。
舞台に立つ俳優は全身を観客に見られます。頭の先から手の先、足の先まで。そして、役や脚本に合わせて体勢を変えながら様々な動きをします。これらを自由自在にコントロールするためには、ある程度の筋力と柔軟性が必要です。また、場合によっては2時間以上、舞台の上で動きまわり、セリフを言わないといけませんので、それに耐えられる体力が必要になります。そして、体力が少ないと、すぐに疲れてしまい、疲れることで集中力が低下し、セリフや動きにミスが生じやすくなります。
演劇の役者は、アスリートだと思っていただいてもいいと思います。そのたも、まずカラダを鍛えるトレーニングを実施します。
具体的なトレーニング内容(一例)
・体操(体育の授業の最初に行うようなもの)
・ランニング(30分〜1時間程度)
・筋トレ(腕立てふせ、腹筋、背筋、スクワットなど)
・ストレッチ(全身)
イメージとしては、学校の運動部などが練習の最初に行うトレーニングと同じようなものになります。運動に不慣れな人もいるかと思いますので、あまり無理はさせずに、怪我のないように行ってください。
最初は全員で行ってもいいと思いますが、慣れてきたら、1時間など時間を決めて、自分のペースで行ってもらってもいいと思います。また、稽古は毎日出来ないと思いますので、役者にはプライベートの時間でもトレーニングをするように促しましょう。
特にランニングに関しては、どうしても時間が取られてしまいますので、個々で行ってもらったほうがいいかもしれませんが、体力の向上は本番での集中力を鍛えられる上に、肺を鍛えることで発声にも有効だと考えられますので、是非取り入れてください。
また、演出家や制作などの裏方のメンバーも折角なので健康のために一緒に行うことをおすすめします。
発声練習
演劇の稽古の中で最も重要な稽古が発声練習です。舞台でセリフを観客に伝えるためには、しっかり観客に届くボリュームで、聞き取りやすいように滑舌よくセリフを言う必要があります。
発声練習は、舞台で必要な「大きな声」「滑舌」を鍛えるトレーニングです。なお、大きな声を出すためには「腹式呼吸」を身につける必要があります。腹式呼吸とは、肋骨などの胸郭を動かし呼吸する「胸式呼吸」に対して、横隔膜を上下に動かして呼吸をする呼吸法のことです。腹式呼吸を身につけると、体の中で声が響き、大きな声が出やすいくなります。また、呼吸が深くなることによって精神が安定し、発声時の喉の負担が軽減します。ぜひ、稽古のプログラムに取り入れていただきたいと思います。
具体的なトレーニング内容(一例)
・喉をあたためる、ゆるめる(無声音など)
・腹式呼吸を身につける練習
・あえいうえおあお(五十音)
・あめんぼの歌
・早口言葉 など
舞台の上で大きな声を出すことや滑舌を意識しすぎると、体の動きや感情表現、セリフが疎かになってしまいます。最初は大きな声を出すことに抵抗がある人もいるかもしれせんが、発声練習を繰り返すことで、自然に舞台用の声が出せるように鍛えていきましょう。
発声練習の方法は様々ありますので、詳しくは後日別記事で記載しますが、他のサイトや書籍などを参考にしていただいても構いません。
演技力を鍛えるトレーニング
演技力を鍛えるトレーニングも様々、多種多様に存在します。
シアターゲームや、感情を出すもの、エチュード、短い台本での練習、などなど・・・。また、劇団が目指す演劇、ジャンルなどによってもやった方がいいもの、やらなくていいものがあります。以下では簡単に、それぞれの特性を踏まえつつ、解説をしていきます。
シアターゲーム
シアターゲームとは、鬼ごっこやピンポンパンゲームなどのような、カラダと声を使って、みんなで楽しみながら行うゲームです。メンバー同士のコミュニケーションを活発にしたり、瞬発力や集中力、声の距離、感情の解放など、演劇で必要な要素が含まれていて、ゲームの参加者がそれらを常に意識しながら取り組むことで、ただ楽しいだけではなく、トレーニングになります。
演劇のワークショップでも取り入れている場合が多いので、一度参加してみて、参考にするのもいいと思います。
感情を出す練習
具体的な名前がわからなかったので、あいまいなタイトルになってしまいましたが、これは、喜怒哀楽の感情を解放し表現するトレーニングです。一例として、短いセリフなどを喜怒哀楽のそれぞれで切り替えながら表現し、演出家や他の役者が評価をしていきます。演劇で感情表現は必要不可欠です。最初は恥ずかしいと思いますが、稽古を通して感情を爆発させる練習を繰り返すことで素晴らしい表現が身につきます。
エチュード
即興劇とも呼ばれます。場所や人物設定など、基本的な情報だけを決めておいて、その他は役者が即興で作っていきます。アドリブの能力や、思考の柔軟性、精神的な強さが身につきます。また仕上がった即興劇を演出家が評価をすることで、演出家のトレーニングになります。しかし、初心者がやるとグダグダになる上に、大した効果は得られませんので、個人的にはあまりおすすめしません。
短い台本での練習
5分程度の短い台本を用意し(既成台本でもオリジナルでもよい)、短い作品を模擬的に創っていきます。これは役者も演出家も、両方のトレーニングになりますし、失敗してもあくまで稽古場での作品なので、劇団にダメージはありません。基礎がある程度できてくると、役者は演技がしたくて堪らなくなりがちなので、マンネリを防ぐためにも、ぜひおすすめします。
最後に
簡単にまとめてみましたが、何度も書いていますが、演劇の基礎トレーニングについては様々な方法があります。今後、もっと詳しく掲載できればと思っていますので、少々お待ちください。
役者のレベルを上げるためには、実際の舞台に出ることが一番ではありますが、基礎をしっかり身につけることで、レベルアップが一段と早くなります。また、ベテランの役者でも、日頃からトレーニングを欠かさない人は大勢いらっしゃいます。ぜひ、劇団内で稽古についての研究を行い、自身の劇団に最適な稽古プログラムを作っていただければと思います。